舩木 倭帆 Shizuho Funaki (日本・広島県在住)
1935年島根県で生まれる。名実ともに、日本を代表する吹きガラス作家である。1年に1度東京日本橋三越本店での「舩木倭帆吹きガラス展」は、語り草となるほど大盛況。買い求めた器を母から娘へと使い継いでいくというファンも多い。

生命が宿る 舩木倭帆の 吹きガラス

 舩木先生の作品の前では、その圧倒的な存在感と品格の清らかさにうたれる。この思いは、決して私だけに留まらず、多くのファンに共通するものであろう。
 舩木ガラスの魅力を語るのに、多くの言葉を書き連ねる代わりに、今回は先生の仕事場の様子を皆さんにお伝えしたいと思う。
 隅々まで掃除のゆき届いた仕事場、その塵ひとつ落ちていない整然とした中で、「ゴォー!」という骨太な連続音が体を包み込む。ガラスを溶解する炎の音である。
 広島県福山市から北に車で20分。神辺町の小高い山の中腹にグラスヒュッテ舩木はある。現在、工房にはお弟子さんが二人。無言の作業が続いていく。その仕事ぶりは伝統舞踊の組踊りを見ているかのようである。目を引くような派手な所作もなく、一瞬の迷いもなく淡々と仕事は続いていく。
 炉から引き出した白熱のガラスは輝きを失いながら、橙色へと変化。ひと呼吸する間の仕事で、無形のガラスは形を与えられ生命を宿す。この愛おしくもあり、崇高でもある世界を身近に感じられる喜びは、カメラマンとしての役得である。
                         (向村春樹)

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