ニョレ・シャルテニーテ Nijole Saltenyte(リトニア在住)
1946年リトアニアのカウナスに生まれる。1973年ヴィルニスの美術大学を卒業。1981年よりリトアニア美術家協会会員、1995年〜2000年同協会のグラフィック部門のチェアマンを務める。
1981年ヴィルニスでの個展を皮切りに、毎年個展を開催。
2000年以降はオーストラリア、カナダ、USAなどの画廊での個展も多い。

道程・反骨の版画家

 リトアニアを代表する版画家であるニョレ・シャルテニーテに会うのは4年振り。深夜ヴィルニスの小さな空港に出迎えてくれたニョレは、印象深い、はにかむ様な笑顔であった。
 近年アートGの扱うものも、絵画に限らず増えてきた。その中で原点に立ち帰る旅であった。私たちは現役の編集者であり、美術の専門家ではない。作品以前に作者の本質・人物に興味が湧く。その生き方に共鳴・共感する画家を選んできた特異なギャラリーである。
 そして、そのアートG(その当時はまだイラスト館)が最初に強く興味を引かれたのが、反骨の版画家ニョレであった。
 1945年から8年続いたソビエトによるリトアニア人のシベリア大量流刑。ニョレの父親もスターリン主義の弾圧を受け、「人民の敵」としてシベリアに抑留、再び帰ることはなかった。ニョレ5歳のときである。彼女の絵に出てくる父親はいつも後ろ姿、それしか描くことができないのだ。
 リトアニアという国を愛する気持ちを風刺のきいたシリアスな画風にまとめあげたニョレの画家としての力量は、見ていただければ自ずと理解していただけると思う。
 作品の多くは彼女自身の手元にもほとんど残っておらず、版画といえど、この夏展示する作品は現物のみというものが大半。年代を追って集め、持ち帰った貴重な作品ばかり。リトアニアへの旅。精神を正すには最適であった。
                        (向村春樹)

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