2006年 Spring Art Collection
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スイス人絨毯商の「アートだ」、そのつぶやきが、ギャッベの歴史に新たなページを開いた。
  

(写真左)ギャッベの力強い「赤」は天然染料のロンナス(茜)から生まれる

(写真右)「沈黙の塔」かつてのゾロアスター教の宗教施設

 

 

 

 
   ゾロアスター教(拝火教)の聖地として名高いヤズドは古都イスファーハンの東、300kmに位置する。イランの中でも最良のロンナス(茜)が収穫できるのはヤズド周辺だけだという。5月のヤズドはすでに酷暑の中。訪ねた地はヤズドから北に70kmにある、アルデカンという田舎町。ロンナス畑は郊外に広がるピスタチオの果樹園に囲まれた中にあった。
 ロンナスは表面に細かなトゲを持ったつる性の多年草である。5月の畑は深い緑色に輝いて見えた。秋に淡黄色の小さな花を咲かせ、植え込んでから4年目の秋に掘り起こし、根の部分を水洗いし乾燥させる。これが染料となる。
 収穫され乾燥したロンナスの根はヤズドの町に集荷され、昔ながらの大きな石臼でゆっくりゆっくり、粉末に挽かれる。昔ながらのこの方法がいちばん熱を生まず、最高の微粉末を生むのだ。根を挽くときに熱が生じると品質が悪化し、美しい赤色を望めない。
ロンナスの畑。
 
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不純物の混入を防ぐため、素足で仕分け作業をする。
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乾燥したロンナスに混入しているゴミを取り除き「挽臼」にかける。
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今はモーターの付いたタイヤが「挽臼」を回すが、かつてはロバがのんびりと引いていた。
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パウダー状に挽かれたロンナスを染料として染色する。
 
 

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染色後、水洗いして露天で乾燥。
 

   
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  春に刈り取った羊毛しか使用しないゾランバリーでは、手紡ぎした糸の強度、風合いなど、いくつものテストに合格した糸だけが、染色工場に運びこまれる。
 そして、驚くべきは、茜色に染めるロンナス染料の量である。10kgのギャッベの糸を染めるのに、その同量10kgのヤズド産のロンナスが使用されるのだ。
 染め上がった糸は水洗いされ、標高2000mの群青色に広がる空の下、じりじりと照りつける直射日光に当てて乾燥させていく。
 ゾランバリー・ギャッベのいつまでも色あせしない力強さの秘密である。