2010 Summer Art Collection
ギャッベ 舩木 倭帆 Juri Milderberg 手提げ籠   寺内 信二   福嶋 正 トップページヘ戻る
ギャッベ
2010 Summer Art  Collection
ギャッベ
 
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  ギャッベ
 
  ザクロスの切り立った岩壁真下の村に最上質のルリバフ絨毯を打つシャーネの音が響く
イラン南西部の田舎町、カザルーン。美しい響きの名をもつ町だが、訪れた6月中旬、すでに気温は45℃、夏になれば50℃を超えるという灼熱の町である。この周辺のザクロス山地を歩いた。ここまで暑くては戸外で走るなどの激しい行動はとれない。呼吸も浅くなり、ハッ、ハッと暑い日に犬が呼吸をするようにあえいで歩いた。この先に我々にとって未知の「ルリバフを織る村」があるというのだ。暑さに負けているわけにはいかない。遊牧民とはいえ、現在では移動はせず、村に定住しているカシュガイ・カシュクリ族、400人の村だという。
大型のギャッベの機の枠は、直径が15Bもある鉄パイプ。これに手紡ぎした細い縦糸を、弾けば音が鳴るように強くビッシリと張り巡らす。この縦糸に一本一本、糸を結んでいくのである。周囲の仕事のスピードに合わせ素早く正確に結び、全員で調子を合わせてシャーネという金属製の重い櫛で打ち込んでいく。これまでにも、カシュガイの女性たちが、並んで糸を結び、シャーネを打ち込む「シャンシャーン」という音は、聞いてきた。だが、ここで聞くシャーネの音は、旋律をもった力強い音楽のようである。
彼女たちが1年以上かけて作る大作のルリバフは、ゾランバリー社からの受注品。織り始めるときに図案は渡されるが、それを見ながらの作業ではない。カシュクリ女性のDNAに織り手としての感性と技が組み込まれているとしか思えない。
カシュガイ遊牧民が素朴に天真爛漫に織ったオリジナリティ溢れるギャッベにこそ、魅力があると考える人の多いことは事実である。しかしその一方で、技のある人が驚嘆に値する仕事をして後世に伝えていくには、パトロンである注文主の存在が不可欠であることは、芸術の世界での不文律なのだ。
ギャッベの世界も非常に競争が激しく、売れ筋のものはすぐにコピー商品化されてしまうという。この村を秘密にしたがるゾランバリー社の意図が理解できる。
ギャッベ写真1
ギャッベ写真2
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